日本のみならず、世界中の多くの国と人々が、北朝鮮の外交を崖っぷち外交と表現する。軍事的衝突の緊張を高めて譲歩を引き出すというものだ。

国際的な包囲網のなかで孤立した独裁国家が背水の陣を張って瀬戸際外交をしている。

こう考えているのは素人。少しでも対朝問題に接したことがある人は、北朝鮮が緻密な論理と一糸乱れぬ統率で論理的に外交を繰り広げていることを知っている。

それを一番知っているのがアメリカだ。
今回、38度線での地雷爆発事件と砲撃事件で朝鮮半島情勢は一触即発の危機に陥ったが、南北高官の電撃的な合意で、危機が一転、関係改善のチャンスが広がった。

なぜ南は、北朝鮮の明確な謝罪(北朝鮮は遺憾と表現。会談後、謝罪でないこと、事件が南の捏造であることを指摘した)がなかったにもかかわらず、関係改善のための各項目に合意し、対北スピーカー放送もやめたのか。

それを知るには、朝鮮半島問題の本質である、朝米関係をみなければならない。

北朝鮮の反米盟友であるイランやキューバと平和的な関係改善に取り組むアメリカは、当然、北朝鮮とも平和的な対話を望んだ。しかし、今年1月の高官接触が拒否するなど、北朝鮮はアメリカとの対話を拒んでいるように見えた。

今回の事件対応を見ても、北朝鮮が人工衛星を打ち上げたり、自国の領土内で核実験したりしたら、ヒステリックに制裁や報復、非難決議をするアメリカや国連が、知らぬ存ぜぬで、なりふり構わず裏で対話を呼びかけていた。

北朝鮮は一貫してアメリカに、朝米平和協定締結、駐韓米軍撤収などを求めており、今回もそうした大きな枠組みで対話を行うなら席に着こうと答えたに違いない。

イランやキューバとの違いは、北朝鮮が核兵器を保有しており、米全土を攻撃可能な潜水艦発射型大陸間弾道ミサイルを保有しているから、北朝鮮は強気の条件交渉が可能だということだ。

北朝鮮は朝鮮戦争とその後の経済制裁についての賠償までアメリカに請求している。

北朝鮮のミサイル攻撃の性能については、イエメンのサウジアラビア攻撃など、中東で実戦証明済み。

北朝鮮の武器支援を受けているシリアやキューバでさえ、昔のように暴力的に押さえつけることができないほど弱体化したアメリカ。北朝鮮を放置すれば、借金の利子が利子を生むように問題は膨張していく。

アメリカがお願いをしてでも対話を望んでいる以上、属国の韓国、日本は北朝鮮の言いなりでしかない。

今回の南北合意、地雷や砲撃をどちらが仕掛けたのか、そこに本質はない。情勢は世界が知るのと正反対に、北朝鮮のペースで進んでいる。

ちなみに日本は、朝鮮半島情勢危機を安保関連法案の成立に利用しており、拉致を含む邦人情報の提供を拒んでいる。数千、数万人の邦人、在日朝鮮人の帰国者とその家族がこぞって日本におしよせたら困るからだ。