3代世襲の独裁者はなぜ無謀な核実験とミサイル発射で世界を脅すのか?

世界のあらゆる宗教や偉人、そして一般家庭の母親もあでもが説いていることがある。
  • 自分がされて嫌なことを相手にするな
  • 相手の気持ちになって考えろ
なぜそれが北朝鮮にはできないのだろうか。

韓国のハンギョレ新聞が金正恩インタビューをシミュレーションした内容が面白い。

金正恩の主張は、

  • 北朝鮮はイラクやリビアの二の舞を避けるために核を手放さない
  • 大国の力関係が変わったことで頼れる隣人がいなくなった
  • 自力で国を守り、自力で経済を立て直す、そのためには核抑止力を強化し、通常兵力を削減し、余力を経済に回す
これぞ並進路線だ

韓国は1990年にソ連、1992年に中国と国交を樹立。民主化の波との相乗効果で急速に経済が発展した。韓中の貿易規模は米日の規模をしのぐ。

逆に考えてみよう。日韓の守護神・アメリカが崩壊したらどうなるか。ソ連が唯一の超大国となり、EUも社会主義に転向した。日本は中ソに接近し、朝鮮と国交を結んだ。取り残された韓国は誰を頼るだろうか。

1990年9月2-4日、ソ連のシュワルナゼ外務大臣がソ連と韓国の修好方針を朝鮮側に伝えた際、当時朝鮮の外交部長だった金永南・現最高人民会議委員長は「ソ連が南と外交関係を結べば、朝ソ同盟は有名無実化する。そうすると朝鮮は同盟に依拠していた武器を自力で開発せねばらない」と伝えた。

朝鮮はアメリカ、日本と関係改善に取り組んだ。1990年9月28日、朝日関係についての朝鮮労働党、日本の自由民主党、日本社会党の共同宣言が発表されたが、パパブッシュがこれを潰した。韓国も表向きは朝日関係改善を支援すると述べたが、朝米、朝日の外交交渉を妨害した。

この時点で北朝鮮の外交を妨害しなければ、北朝鮮をアメリカ側に取り込んでいれば、アメリカの核の傘の下で国を発展されることができ、朝鮮の統一も果たされたかもしれない。

米日韓の戦略ミスの大きなポイントだった。

誰にも助けてもらえない政治状況、度重なる自然災害、そして一代目(金日成主席)の死。

北朝鮮は飢饉に見舞われたが、大国に屈服するのではなく、自力で国を立て直すことを選んだ。もちろん、大きな犠牲を払ったし、多く人が国を追われ、命も失ったが、北朝鮮の選択について、外野がとやかく言う問題ではないので、ただ事実だけをみよう。

2000年6月と2007年10月に南北首脳会談が実現した。北朝鮮が主張している統一の原則、「自主・平和統一・民族大団結」に沿って、低い位置からの交流で南北の融和を図った。「わが民族同士」という理念が生まれた。統一へのベクトルが示された。

2002年9月、2004年5月には朝日首脳会談で平壌宣言が発表された。同時に、金正日総書記が日本人拉致について公式に謝罪した。ここから朝日が両国の懸案を一つ一つ解決し、友好関係を深め、国交を正常化するはずだった。

これらをぶち壊したのがアメリカだ。

例えば、1990年9月金丸訪朝で生まれた関係改善の流れを止まったのは、ベイカー米国務長官が核問題を持ち出したからだ。

北朝鮮の外交関係が進めば必ず、アメリカが〇〇疑惑を持ち出す。前々から知っていたにもかかわらず、なぜそのタイミングなのか、その悪意は露骨だ。

クリントン元米大統領時代、2000年10月に米朝共同コミュニケが発表された。停戦協定を平和保障システムに移行するための内容だ。朝米首脳会談開催のため、オルブライト米国務長官が平壌を訪問。金正日総書記と「ワルツを踊った」。

しかし、子ブッシュはこれらをすべてぶち壊した。

しかも、アメリカの敵国・イランを相手に代理戦争を戦ったサダム・フセインをいとも簡単に切り捨てた。大量破壊兵器保有の嘘で一国をズタボロに切り裂いた。リビアのカダフィもしかりだ。

彼らが核武装していたらどうだったのか?彼らが命を長らえただけでなく、イラクやリビアは今のようにひどい治安には陥ったなかったはずだ。

これだけでも十分過ぎる、核開発の野心。

アメリカ本土への核攻撃が可能となった今、北朝鮮は通常兵力を削減し、その分を経済開発に回している。

経済改革は少しずつ浸透し、「自力更生」を発展させた「自強力第一主義」を掲げ、軍事・経済両面を自力で発展させる政策を講じている。

もちろん、これについていけず、金正恩と対立する者もいるが、北朝鮮は3代世襲、核開発と経済発展の並進路線、自強力第一主義を選択した。

数千人を公開処刑した?そんなことして生きていける訳がない。恐怖政治によってあの小さな国で水爆実験が可能なのか。

最後にエピソードを紹介しよう。

金日成が抗日戦争を戦っていた時代、日本は抗日部隊の内部分裂のためにスパイを送り込んだ。抗日部隊とその支援民たちは疑心暗鬼となり、無実の人まで処罰した。その際、金日成は、組織の半分以上がスパイなら、その組織はもはや内容が変わるはずだといって、部隊の混乱を収めた。