米国のカーター国務長官は、北朝鮮のICBM(大陸間弾道ミサイル)の試験発射が米国や同盟国を威嚇するものであれば打ち落とすと言っていたが、数日後の記者会見では、米国を威嚇するものでなければ迎撃する必要がないと述べた。

こんな矛盾した発言に誰も突っ込まないから笑える。

北朝鮮のICBMは米本土攻撃を目的に開発されており、北朝鮮はそれを正式に意思表示している。

したがたって、北朝鮮のICBM実験はすべて、米国の脅威になる。

それなのに、「威嚇するものでなければ迎撃する必要はない」とはおかしいではないか。

打ち落とせないから強がりを言っているにすぎない。

北朝鮮のICBMは多弾頭搭載なので、すべてを迎撃することは不可能。

カーターはもうすぐ民間人になるが、それを受けるトランプ政権からすれば、とんだ迷惑なコメントだ。

さて、米国はなぜここまで落ちぶれたのか。


オバマ政権の失政を振り返ろう。

オバマ大統領は2012年4月、2012年8月、2013年8月、2015年9月の4度、北朝鮮に密使を派遣。平和交渉を打診した。

なぜ密使か。

北朝鮮と交渉するとなると、核とミサイルに屈して交渉に乗り出したと非難されるからだ。

だが、実際には、核とミサイルで武装した北朝鮮に手を付けられず、隠れてこそこそと使いを送り、交渉を嘆願したが、拒絶されたのだ。

オバマ政権の失敗は、北朝鮮の核武装意欲と能力を誤った認識していたからだ。

北朝鮮は1998年5月30日、パキスタンの砂漠に掘った垂直坑道で核実験を行った。

2006年10月8日にはプルトニウム2kgで約10ktの核爆発威力を発生させる核実験に成功した。

そして2016年1月6日、水爆実験まで成功させた。

米国の著名な核科学者、Siegfried S. Hecker氏によると、北朝鮮は年間35発の核爆弾を生産することができ、2020年には保有量が200を超える。

北朝鮮は核兵器を米国との交渉手段としてではなく、米国に対抗する手段として開発してきた。

核を手放せば攻め込まれ支配される、だから絶対に手放さない。

交渉すれば核開発をやめるのではないか、それができると判断したところに、オバマ政権の失敗がある。

朝米は2016年初頭、朝米和平交渉開催に同意していたが、会談直前になって、米国側が北朝鮮に核兵器の縮減を会談前に求めない代わりに和平交渉の議題に北朝鮮の核開発プログラムを含めることを求めたことで、交渉は始まる前に決裂した。

オバマ政権は最後まで北朝鮮について正確な認識を持てなかったのだ。

こうしたオバマ政権の失敗を繰り返さないため、トランプ次期大統領は北朝鮮問題について慎重になっているという。

打つ手なしで放置したオバマに対し、トランプはどのような選択をするのか。

オバマのように放置すれば、北朝鮮の核・ロケット技術は日に日に進歩する。

北朝鮮の政治軍事的に手を組む国が現れでもしたら、世界を牛耳ってきた米国の長年の努力が水の泡となる。

トランプは北朝鮮の核兵器を認め、核保有国として対等な形で交渉に臨むしかない。

そうなるとむしろ、北朝鮮よりも韓国がやっかいになる。なぜ北を認めるのか、我々が攻撃されたら守ってくれないのかと。

トランプ米国は韓国を見捨てる日が現実味を帯びる。

朝鮮半島はゆるやかな統一へと向かい、安定が保たれる一方、対立の最前線(最大ホットスポット)は日本、台湾へと移る。

実際、北朝鮮は米国に駐韓米軍の撤退、核兵器の撤去、国際的な査察などを求めている。

これは戦争状態にある朝鮮半島で、北朝鮮が米国に降伏を迫っているのに等しい。

こんなことができるのは歴史上、北朝鮮だけで、こんなことをされたのは米国とって歴史上初めてだ。

とはいえ、対面上の問題もあるし、いじめすぎるよりも、飼いならした方がいい。

北朝鮮は、米国が太平洋に展開している軍事力の改変という名目で、駐韓米軍の削減などいくつかの妥協で許してあげて、その代わり莫大な軍事援助を求めるだろう。

北朝鮮が的でなくなるなら、政治的にやっかいな韓国を守る名目はない。軍事的な前線は日本で十分だ。

経済的には朝鮮半島が米中ロ、ここに日本、EUが入り乱れての利権争いとなるが、北朝鮮は韓国との経済協力を重視する。

朝鮮半島の平和安定が進む一方、日本、台湾が今後のホットスポットになる。

ちょっと先を見過ぎてしまったので、話を朝米交渉に戻す。

米国の最後の強力な外交カードを紹介しよう。

それは金正恩を米国に招くことだ。

トランプが平壌に乗り込んで直談判するという構図はありそう。その後は反対に金正恩がワシントンを訪問すべきだとなるが、これを北朝鮮が飲めるだろうか?応じるだろうか?

トランプはいろいろ面白そうだ。